Googleマイビジネスは誰のため?

Googleマイビジネスはいった誰のためにどういった思想で開発提供されているのか?
Googleの意図を読み解き解説させて頂きます。

2020年11月4日にGoogleマイビジネスはGoogleビジネスプロフィールに名称変更されました。

日々アップデートされるGoogleマイビジネス

ここ最近Googleは、Googleマイビジネスへの改善を頻繁に行っています。

例えば、

短いプロフィール名を追加する機能(ビジネスの略称と URL を作成する)

※ 『プロフィールの略称』 は2021/08現在新規の設定が不可となっています。
既に設定している場合は削除のみ可能で、変更は出来ません

マイビジネスの管理権限者がGoogle検索でダイレクト検索した際に、マイビジネスの分析ツールであるインサイトのダイジェストが表示されるようになりました。

マイビジネス管理者用表示機能

マイビジネスの写真のカテゴリーがタブ表示されます。(こちらは以前からGoogle検索時に表示されるナレッジパネルでは表示されていましたが、やっとマイビジネスでも実施されました)

写真カテゴリタブ

Google検索でのホテルのローカル検索時ではこれまでの上位3位までの表示(3パック)から上位4位までの表示に変わるとともに、新たに「宿泊者のお気に入り」や「予算オプション(予算上限によって表示を変更する)」、人数など表示や条件を詳細に設定できるようになりました。

ホテル検索結果

(この機能は現在ホテル、宿泊施設のみのようです。)

これらの改善はその多くがGoogleから事前に通知されることが無く「いつのまにか」変わっているため、私たちのようなGoogleマイビジネスの設定支援やMEO対策、Googleストリートビューの撮影、公開といったお仕事をさせていただいており、毎日お客様のマイビジネスを見ている会社ですら、変更に気付かず、お客様からのご指摘やインターネットの情報で知ることも少なくありません。

ご存知無い方もいらっしゃるかも知れませんが、Googleマイビジネスをお店のオーナーが利用することについて、Googleには一銭も支払う必要はありません。

つまりGoogleはすべて自分たちの資源(人、物、金)を使ってGoogleマイビジネスを改良しているのです。

なぜでしょうか?

無料で、Googleはどうやって儲けてるの?

先ほど書きましたが、Googleマイビジネスを利用するに当たって、その費用は一切必要ありません。

ただこれはGoogleマイビジネスだけでなく、そのプラットフォームであるGoogleマップもそうですし、色々なことを調べるGoogle検索や、動画や音楽が楽しめるYouTube、メールアプリのGmail、エクセルやワードと互換性があるスプレッドシート、Googleドキュメント等々、無料で利用できるサービスは非常に多岐にわたります。

ところで弊社では、Googleストリートビューの撮影・公開やGoogleマイビジネスに関する仕事をしている事もあってか、このようなご質問をお客様からたびたびいただきます。

「Googleは何で儲けているの?」

この答えの前にまず、Googleの売上や利益についてですが、2018年通期では1,368億ドル(14兆7,700億円 108円/1ドルで計算、以下同じ)、営業利益は263億ドル(2兆8400億円)となっています。

物凄い金額ですが、例えば日本で最も売上高の高いトヨタ自動車のそれが29兆3,795億円ですから、巨大とはいえ世界一という訳ではありません(ちなみに世界一の売上高の会社はアメリカのウォルマート。スーパーマーケットですがその売上げはなんと53兆円!です)。

しかしGoogleの凄いところはその営業利益率で、なんと19.2%もあります。

これは非常に効率の良い商売で、例えばトヨタ自動車のそれは8.2%(2兆4,000億円)なので、Googleの方が効率よく儲けていると言えます(ちなみにウェルマートの営業利益率は1,9%、2兆437億円です)。

ではいよいよ、「Googleって何で儲けているの?」ですが、2018年度第4期(10月~12月)では、売上高391億2,200万ドル(4兆2,252億円)に対し広告売上は6億3,500万ドル(83.4%、3兆5,245億円)と、そのほとんどが広告、それもインターネット広告です。

実は広告の他にもYouTubeやクラウドサービス(データセンター)の売上もあるのですが、
売上の大きな柱はインターネット広告であることは間違いありません。

ところで例えば皆さんがどこかに広告を出すことを想像してみてください。

せっかくお金を払って広告を出すのなら、当然その広告による集客(や売上)が増えることが必要ですし、そのためにはその広告が多くの人の目に触れることが重要です。

Googleは、Googleのサービスを利用する人が多くなればなるほど、その広告を目にする人が増える、と考え、それを実現する方法の一つとして無料で様々なサービスを提供しているのです。

Googleマイビジネスも例外ではありません。

確かにGoogleマップには広告は表示されませんし、その検索結果の多くには広告が表示されません(「ローカル広告」という3パック内に表示される広告や、宿泊施設などでは提携する旅行代理店の広告枠が表示されることがありますが、まだまだメジャーではないようです)。

ただ、Googleのサービスの多くには広告枠が設定されており、人々が頻繁にGoogleのサービスを利用すればそれだけ多く広告を目にすることは疑いようがありません。

つまり、Googleはまさに「自分のために」Googleマイビジネスを無料で提供しているのです。

無料ほど「安い」ものは無い?

例えGoogleが無料で様々なサービスを提供したとしても、そのサービスが価値のないものであれば誰も使ってくれません。

それでは、例えば検索サービスにおいて「価値のある」サービスとは何でしょうか?

インターフェイスやスピードなどもあるかと思いますが、検索サービスにとって最も重要で、しかも困難なことは、「検索者の必要とする結果が返ってくる」ことにつきます。

検索者にとっては、自分の必要な情報が検索結果で返ってくれば、その検索サービスは有用ですし、今後もそのサービスを利用しようとするでしょう。

しかしそうでなければその検索サービスは使わなくなるでしょう。

ではGoogleは、自社の検索サービスが検索者にとって利用価値が高いと思わせるようにどんな工夫をしているのでしょうか?

まず最も重要なことは、検索サービスの要である検索エンジン(検索するためのプログラム)の精度を上げていくことです。検索エンジンは無尽蔵ともいえるインターネット上の情報の中から、検索者にとって最適な解を提供するべく、莫大な費用と時間、優秀な人材によって開発されておりその技術や可能性は一般の人々の想像をはるかに越えていると言われています。

またそのロジックは絶対に外部に漏れないように厳重に管理されています。

何故なら、そのアルゴリズムに最適化されたもの(例えばホームページ)が造られれば、アルゴリズムを「騙す」ことで不正な検索結果が導かれる可能性があるからです。

しかしいくら検索エンジンが素晴らしいものになっても、検索者が望む結果が得られるとは限りません。

それは「情報が不正確」であった場合です。

例えばGoogleマイビジネスの営業時間に誤った情報が掲載されていても、Googleはそれを確かめることはできません。

電話番号が間違っていても同じです。焼鳥屋のカテゴリーが美容室になっていたら、少なくともローカル検索では見つけてもらいにくくなるはずです。

そもそも、Googleマイビジネスに「ビジネスオーナーですか?」と表示されていれば、その場所に本当にお店があるのかどうかも疑わしいと言わざるを得ません。

ですからGoogleは、ビジネスオーナー確認やマイビジネスの編集について、非常に簡単な方法で行えるように用意しています。

極論になりますが、ビジネスオーナーがマイビジネスに対して行えることは、とても単純な作業しかないのです。

例えばLINEに自分のプロフィールを登録する、友人を招待できる、また写真を添付してメッセージを送ることができる人は、いまや非常に多いと思いますが、Googleマイビジネスの編集とはまさにこの程度の作業です。

確かに記述する内容や書き方に多少テクニカルな部分も無い訳では無いですが、少なくともこの作業において、Googleの非常に高度な検索アルゴリズムを騙すような内容は全く存在しません。

「マイビジネスの検索順位を上げます!」にご注意を!

ただしここで一つ注意すべきことがあります。

もし狡賢いビジネスオーナーが検索順位を不当に上げようと考えれば、実はもっと簡単で、
しかも効果的な方法があります。

それは、「Googleマイビジネスのポリシーに違反することを承知で」ビジネス名を幅広い検索ワードに適合するように変えてしまうことです。

この方法はとても簡単ですし、その効果も素晴らしく、結果も早く出ます。

実は今もこの方法で検索順位を上げられると喧伝する業者もいるようです。

でも、もしそのような営業があっても、決してその言葉に乗ってはいけません。

何故ならGoogleは現在、そのような検索エンジンを騙して検索サービスの信頼性を揺るがす記述がされているマイビジネスに対し、大変厳しい態度で挑むことを宣言しています。

現状は英語のページですが、ここではGoogleマイビジネスのポリシーに対して不正と思われるマイビジネスを「通報」することができます。

この審査はAI(人工知能)ではなく、人間が行う、つまり人件費というコストをかけてでも不正を撲滅する、というGoogleの強い意志が感じられます。

Googleが検索エンジンを整備し、容易にビジネスオーナーがマイビジネスを編集できるようにし、検索サービスの信頼性を高める努力を続けている理由は、全て検索者にとって有用な検索結果が得られる仕組みを維持向上させるためでもあるのです。

マイビジネスは広告じゃないの!?

はい。マイビジネスは広告ではありません。

Googleがマイビジネスを無料で提供している理由をこれまで述べてきましたが、あくまで「Googleと検索者」のためであって、マイビジネスのオーナーのためではありません。

マイビジネスのオーナーの主観的な情報ではなく、事実と客観的な情報を伝えるためのスペースです。

少なくともGoogleマイビジネスは「自分のビジネス(お店)にとって都合の良い情報だけを載せられる」スペースではないのです。

マイビジネスは検索者が必要とする情報をコンパクトにまとめて、その選択や訪問、購入の手助けをするためにあります。

またGoogleの収入源である広告を露出できる数多くのプラットフォームの一部で、より多くの人がGoogleのサービスを利用するための入口です。

ですから例え都合の悪い口コミを投稿されても、ユーザーによって「あまり綺麗で無い」写真がアップされても、それらはGoogleの審査に通らないと削除することはできません。

何故ならビジネスオーナーにとって不都合な情報であっても、検索者の判断材料になるからです。

ホームページのように店主の想いや商品の優秀さを十分に記載できる場所もありません。

何故ならビジネスオーナーの一人御勝ちの情報は、検索者にとって必ずしも必要な情報とは言えないからです。

だからこそ利用価値があるのです!

「お金がかからないといって、制限ばっかりじゃ役に立たないよ…」

実はこれまでも、そして今もまだGoogleマイビジネスに対して批判的な感想を言う人は少なくありません。

しかしその認識は、今すぐ(できるだけ早く)改めるべきと申し上げます。

何故なら、その制約こそが検索者から信頼され、利用される理由だからです。

『情報が少ない』からこそ、検索者は手軽に検索し、すぐに意思決定ができるGoogleマイビジネスを参考にするのです。

確かにホームページにはオーナーが「好きなだけ」情報を載せることができます。

しかし「ランチしたい」検索者は、実はそれほど大量の情報を必要としていません。

むしろ少ない情報の中で「早く」意思決定したい、と考える人が多いのです。

  • 「場所が分かる」
  • 「行き方がわかる」
  • 「電話番号が分かる」
  • 「営業時間が分かる」
  • 「評価が分かる」
  • 「店内や商品が分かる」
  • 「空いている時間が分かる」

スマートホンの画面に収まるくらいの小さなスペースでこれだけの情報を確認することができるGoogleマイビジネスは、そのスペースと同じくらい僅かな時間で意思決定したい忙しい現代人のニーズにマッチしていると言えるのではないでしょうか。

『無料だからこそ』検索者はGoogleマイビジネスの情報を信頼するのです。

飲食店や美容室、病院、老人ホームなど今や世の中の殆ど全てにその情報を掲載するサイトが存在しており、その多くは当然ですが有料です。

ところで最近の消費者は賢くなっており、「有料の広告には誇張や嘘があるかもしれない」と考える人が多くなっていると言われています。

これは非好意的な口コミの非表示や有名ブロガーによる提灯記事で話題になった某有名サイトや、無料掲載を謳っていながら料金を払えば上位検索表示や競合店の非表示といった特別なサービスを受けることができる情報サイトについて、不信感や批判的な感情を持つ消費者が増えてきたことに他なりません。

Googleマイビジネスは無料で利用できます。

ただしGoogleのポリシーに従わなければいけません。
これは別の言い方をすれば「お金をいくら払っても検索結果を操作できない」ということです。

「正しいルールに則ってGoogleマイビジネスを編集し、Googleストリートビューや写真、イベント投稿などで情報を発信し、来店者をおもてなしして口コミを書いていただく。」

これがきちんとできているマイビジネスが検索者にとって必要な情報であり、まじめに継続してマイビジネスから情報を発信するオーナーが評価されることをGoogleは望んでいるのです。

結局、Googleマイビジネスは誰のため?

そうです、まさにGoogleマイビジネスは「全うなお仕事をされているビジネスオーナーのために」あるのです。

この記事をお読みの皆様が、ご自身のお仕事に誇りと情熱を持っておられて、それをより多くの方に知ってもらいたい!と思われているなら、むしろGoogleマイビジネスを利用しない手は無いと思いませんか?