ローカル構造化データで公式サイトを武装。GBPとの相乗効果で集客加速
なぜ「公式サイトの構造化データ」が効くのか
Google はウェブ上の構造化データ(JSON-LD など)を読み取り、ページ内容や企業・店舗情報を機械的に理解します。これにより、そのページが どの店舗の・どんな属性 を持つのかが明確になり、該当する検索でリッチな表示(リッチリザルト)や知識パネルに必要な材料がそろいます。公式ドキュメントでも、構造化データは内容理解と検索機能の表示に用いられるとされています。

一方で、ローカル検索(Google 検索やマップの“お店探し”)は 関連性(Relevance)・距離(Distance)・知名度/評価(Prominence) を総合して順位づけされます。構造化データ単体が「順位を直接上げるスイッチ」ではありませんが、関連性の解像度を高め、適切な場面で表示されやすくする基礎になります。
ローカル検索の評価軸と、構造化データが担う役割

関連性(Relevance):ユーザーの検索意図に対し、その店舗がどれほど合致しているか。
→ 公式サイト側の LocalBusiness マークアップで @type(業種)、営業時間、住所/座標、電話 などを明示すると、検索エンジンが「このページ=このロケーション」を理解しやすくなります。
距離(Distance):検索地点からの近さ。
→ address / geo(緯度経度) の明示は、同一住所表記の揺れや複合施設内の位置などの曖昧さを減らします。
知名度/評価(Prominence):レビュー数や評価、外部での言及などの総合力。
→ 構造化データは直接の順位要因ではないものの、ページ理解の向上により適切なリッチ表示の対象になればクリック率・想起に寄与し、間接的に存在感を高める余地があります。
Google が「GBP」と「公式サイトの構造化データ」をどう扱うか

- GBP(Google ビジネス プロフィール)は、営業時間・臨時休業・住所・電話・カテゴリなどの一次情報の公開面。ローカルパック(地図3枠)やマップでの露出に直結します。臨時・祝日などの特別営業時間は GBP 側で設定できます。
- 公式サイトの LocalBusiness 構造化データは、検索エンジンがウェブ上の「公式な一次ソース」としてページを理解する助けになります。Google のサーチギャラリーでも、ローカルビジネスの構造化は知識パネル等のビジネス情報表示の材料として位置づけられています。
要は、GBP(Google面)と構造化データ(ウェブ面)の両輪で同一の事実を示すほど、Google側で同一エンティティとして統合(ディスアンビギュエーション)されやすい、という理解が合理的です(この点は一般ガイドからの推論ですが、ドキュメント上も「構造化データは理解と機能表示に使う」と明記されています)。
公式サイトに LocalBusiness を入れると期待できる具体的な効果
- 知識パネルやリッチな表示の対象になりやすい
Google のローカルビジネス構造化データは、営業時間・部門・(ポリシー適合時の)レビュー要約などの情報提示に活用されます。適切なマークアップは、より目立つ表示の土台作りです。 - 検索意図とのマッチング精度UP(関連性の強化)
@type(できるだけ具体的な業種)、住所/座標、電話、公式URL、営業時間を機械可読で明示することで、「このページがどの店舗の何の情報か」を検索側が取り違えにくくなります。 - 臨時・季節の営業時間反映(ユーザーの期待値調整)
特別営業時間は GBP 側で設定しつつ、公式サイトにも OpeningHoursSpecification で通常時間を、必要に応じて期間(validFrom/validThrough)を明記して整合性を保てます。 Google ヘルプSchema.org - ブランドの一貫表現(ロゴ・SNS)
公式サイトの Organization マークアップ(ロゴ・同一SNSアカウントの列挙)をトップページに、LocalBusiness を各店舗ページに__と役割分担することで、組織と拠点の両面がぶれにくくなります。 - 自己レビューの誤実装リスク回避
LocalBusiness/Organization で 自社に有利な自己レビュー(Self-serving reviews)をマークアップしても表示対象外。ポリシー違反で逆効果になり得るため、やらないことが正解です。
実装の原則:Google のガイドに沿って「正しく」置く
形式は JSON-LD が推奨。検索エンジンが読みやすく、保守もしやすい。設置後はリッチリザルトテストで検証します。
ページ単位の一貫性:
- 店舗詳細ページに、その店舗の LocalBusiness を置く(
url
はその店舗ページの正規URL)。 - トップページには Organization(ロゴ・SNS等)。組織と拠点を分けると検索側の理解が安定します。
@type(業種)はできるだけ具体的に:スキーマの該当が無ければ上位型(例:Store
、ProfessionalService
など)でフォールバック。
営業時間は構造化で:OpeningHoursSpecification
(曜日×開閉時刻、必要なら validFrom
/validThrough
)。臨時は GBP の「特別営業時間」で公式側も説明を整える。
技術ガイドライン順守:ブロックしない(robots.txt/noindex など)、コンテンツ整合性、ポリシー遵守。
注意:構造化データは単体ではランキング要因ではないが、理解と追加表示の土台になる――この公式見解は明記されています。
GBP と公式サイトの“最強タッグ”を作る設計図
NAP 整合(Name / Address / Phone)
GBP と公式サイト・構造化データで同一表記に。住所は都道府県・市区町村・番地・建物名まで PostalAddress で明確に。
カテゴリの一致
GBP の「メインカテゴリ」に合わせて、サイト側の @type
を最も具体的な型に。分類の整合は関連性の取り違えを防ぎます。
営業時間の二重管理を避ける
祝日や臨時変更はまず GBP を最新に(マップ面の露出直結)。公式サイトは構造化・本文ともに整合を取る。将来的には自動同期で人的ミスを根絶。
ロゴ・SNSの統一
トップページの Organization で logo / sameAs を正規化。ブランドの同一性を検索側に明示。
具体例(最小の骨子:JSON-LD)
店舗詳細ページに設置する例
<script type="application/ld+json">
{
"@context": "https://schema.org",
"@type": ["LocalBusiness","HairSalon"],
"@id": "https://example.com/shops/kobe#local",
"url": "https://example.com/shops/kobe",
"name": "サロン名",
"telephone": "+81-78-000-0000",
"image": [
"https://example.com/img/storefront.jpg",
"https://example.com/img/interior.jpg"
],
"address": {
"@type": "PostalAddress",
"addressCountry": "JP",
"postalCode": "650-0000",
"addressRegion": "兵庫県",
"addressLocality": "神戸市中央区",
"streetAddress": "〇〇1-2-3 〇〇ビル3F"
},
"geo": { "@type": "GeoCoordinates", "latitude": 34.6901, "longitude": 135.1955 },
"openingHoursSpecification": [
{ "@type":"OpeningHoursSpecification","dayOfWeek":"Monday","opens":"10:00:00","closes":"19:00:00" },
{ "@type":"OpeningHoursSpecification","dayOfWeek":"Tuesday","opens":"10:00:00","closes":"19:00:00" }
],
"sameAs": ["https://www.instagram.com/yourbrand"]
}
</script>
検証:公開前にリッチリザルトテストや Search Console の URL 検査でエラー/警告を解消します。
よくあるNGと回避策
トップページの URL を拠点 url
に入れる → ✕
拠点ページに設置する LocalBusiness の url
はその拠点ページを指定。トップは Organization 用。
レビューを自社都合でマークアップ → ✕
LocalBusiness/Organization の自己レビューは不可(表示対象外)。
営業時間を本文だけに書く → △
本文も必要ですが、OpeningHoursSpecification で構造化するのが機械可読的に強い。臨時は GBP の特別営業時間を更新。
実装チェックリスト
- JSON-LD(推奨形式)で LocalBusiness を記述した
@type
はできるだけ具体的(GBP メインカテゴリと整合)url
は拠点ページ、@id
は#local
等で固定化- 住所(PostalAddress)・電話・緯度経度を正確に
openingHoursSpecification
を曜日×帯で記述、季節や期間はvalidFrom/validThrough
- トップページに Organization(logo / sameAs)を設置
- リッチリザルトテスト/URL検査で検証し、ポリシー順守(自己レビュー禁止)
よくある質問
GBPは“Google側の公式カード”、構造化データは“ウェブ側の公式根拠”です。両方で同じ事実を一貫表示することで、Googleに店舗の属性(業種・場所・営業時間など)をより正確に理解させ、適切な場面での表示機会(リッチ表示・知識パネルの材料)を増やせます。順位を直接上げるスイッチではありませんが、関連性の解像度と見え方が向上します。
url
には何を入れる?トップか店舗ページか?店舗ページのURLを入れてください(例:https://example.com/shops/kobe
)。トップページは**Organization(会社全体)**用です。@id
は同じURLに#local
等を付けて固定子にすると、他データから参照しやすくなります(例:https://example.com/shops/kobe#local
)。
@type
(業種)はどう選ぶ?GBPのメインカテゴリとの関係は?GBPのメインカテゴリに整合する、できるだけ具体的なschema.org型を選びます(例:「美容室」= HairSalon
、「不動産仲介」= RealEstateAgent
)。該当がなければ Store
/ ProfessionalService
/ LocalBusiness
にフォールバックします。
@type
を配列で指定できます(例:"@type":["LocalBusiness","Plumber","Locksmith"]
)。ただし1ページ=1拠点が原則。何屋なのかが主として伝わる構造を優先してください。
基本:各店舗ページにその拠点の LocalBusiness を1つ。
同住所・同ページで部門を分けたい:親に店舗の LocalBusiness、子に department
で「薬局」「フードコート」などをネスト。
一覧ページでは基本は構造化を最小限にし、詳細ページへ誘導が安全です。
通常は openingHoursSpecification
を曜日×時間帯で。昼休憩など複数帯も可。
臨時・祝日はGBPの「特別営業時間」を更新しつつ、サイト側では本文(お知らせ)と矛盾しないように。必要なら validFrom
/ validThrough
で季節的な適用期間も表現します。
最重要です。表記ゆれを排除しましょう(全角/半角・丁目表記・建物名など)。電話は国番号付き(例:+81-78-xxxx-xxxx
)が無難です。
image
)は何枚/どんなサイズがよい?複数枚(外観・内観・商品/メニューなど)を高解像度で。比率は16:9/4:3/1:1を混在させると面での露出に対応しやすいです。ファイルはWebP/AVIF推奨、代替テキストも整備。
aggregateRating
/review
)は入れるべき?自店舗の自己レビュー(Self-serving reviews)はNGです。ガイドライン上、表示対象外・リスクあり。第三者レビュー集約サイト等のケースに限られます。無理に入れず、GBPのクチコミ対策と公式サイトの充実に注力してください。
hasMap
とgeo
(緯度経度)は両方必要?両方あると堅牢です。geo
で座標を機械可読に、hasMap
で地図導線を補完(Googleマップの共有URLでOK)。複合施設内や大きな番地など曖昧さが減ります。
sameAs
には何を入れる?公式SNSや主要ディレクトリの公式アカウントURL(X/Instagram/YouTube/会社情報ページなど)。なりすましや別名との混同を避け、ナレッジパネルの整合に寄与します。
言語版ごとにページと構造化を用意します(hreflang
とセット)。name
やaddress
の表記は各言語の適切な表現に。@id
は各言語版のURLに紐づけます。
公開前にリッチリザルトテストで構文・必須項目・警告を確認。公開後はSearch Consoleの拡張レポートでエラー/警告推移を監視(サイト全体での実装品質を俯瞰できます)。
直接のスコア加点ではありません。ただし検索エンジンの理解が深まり、適切な表示・クリック率(CTR)・想起に効いてくるため、間接的な集客増が期待できます。ローカル順位は関連性・距離・知名度の総合で決まります。
url
にトップURLを入れてしまう(→拠点ページのURLに)
時間表記のフォーマット違い(09:00:00
形式推奨)
電話の国番号なし、住所の表記ゆれ
画像1枚だけ&低解像度
自己レビューのマークアップ(避ける)
人手更新は営業時間・例外日の反映漏れが起きやすいので、将来的にはGBPの一次情報を基点に自動生成するのが理想です(当社「おもてハブ」連携で、GBPを直したら公式サイトの構造化も自動更新という運用にできます)。
まとめ
- 構造化データは“順位アップの魔法”ではないものの、Google に正しく理解させ、適切な表示の対象に乗せるための必須インフラです。
- GBP(Google面)× 公式サイトの LocalBusiness(ウェブ面)をそろえて同じ事実を一貫表現するほど、関連性の精度・見え方の質が上がります。
- 運用では 臨時時間=まず GBP 更新、公式サイトも構造化で整合を保つ——この体制が“行列のできる案内所”への近道です。
参考(Google 公式ドキュメント)
- LocalBusiness 構造化データの概要と対応プロパティ。 Google for Developers
- ローカル検索の評価軸(関連性・距離・知名度)。 Google ヘルプ
- 構造化データの役割(理解と機能表示)・一般ガイドライン・検証。 Google for Developers+1
- ローカルビジネスの検索ギャラリー(表示例)。 Google for Developers
- 自己レビュー(Self-serving reviews)ポリシー。 Google for Developers
- GBP の特別営業時間の取り扱い。 Google ヘルプ+1