Googleストリートビュー撮影に特有の注意点とは?

お店や施設を経営されていらっしゃる方でしたら、これまでにも外観や内観、商品などの撮影をフォトグラファーに依頼された機会も有ったのではないでしょうか?
Googleストリートビューもフォトグラファーが一眼レフカメラで撮影するところは同じですが、実際に撮影現場をご覧になられるとパノラマ撮影特有の撮影方法に驚かれる方も少なくありません。また、Googleストリートビューのポリシー(ルール)に従って撮影するため、避けることができない事象も存在します。
今回は、特にGoogleストリートビュー撮影時における注意点などについて、実例をご紹介しながらご説明します。

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施設内の整理整頓

Googleストリートビューでは普通の写真撮影と異なり、カメラを中心とした上下左右、カメラの三脚部分を除くほぼ360°全周が撮影されます。
そのため、通常の撮影であれば写り込みを避けるために移動したり隠したりする物も写ってしまうことが多々あります。

また、日常では気が付いていなくても、私たちのような部外者が見た際に気になる点も指摘します。

  • 棚や冷蔵庫の上に使用しない調理器具や在庫品などを積んでいる。
  • 書類や筆記具などレジやカウンター周りに乱雑に置いてある。
  • 傘立てに古い傘が何本も入っている。
  • 使用しない椅子や座布団を部屋の隅に並べたり積んでいたりする。
  • 照明などの電源コードが無造作に露出している。
  • ビニールを被せたままや中にゴミが入った状態のゴミ箱がある。

お客様の中には「いつも(営業時間中も)こんな状態だから問題ない」と仰って片付けられない方もいらっしゃいますが、公開されたGoogleストリートビューは世界中から見ることができます。
お店や施設のPRにつながる撮影ですので、可能であれば撮影前に整理しておかれることをお勧めします。

人物の撮影

オーナー自身がGoogleストリートビューに写りたいと要望されることもあります。
弊社ではスタッフと異なり、オーナー自身がGoogleストリートビューに写ることについては特に問題ないと考えています。
ただし、とても重要な注意点があります。それは、「絶対に動かないで下さい」です。

非常にきれいに撮影されていますが、この時オーナー様には「息を止めて絶対に動かないでください」とお願いしています。
何故「動いてはいけない」かですが、これは一眼レフ機でパノラマ撮影を行う際の特殊な撮影方法のためです。
Googleストリートビューの撮影では一眼レフ機で4方向撮影しますが、それぞれの方向について明るさを変えて3枚撮影し、計12枚の画像を合成して一つのパノラマ画像を作成します。
つまり1方向につき3枚の画像を重ね合わせるのですが、この時被写体(人物)が少しでも動いてしまうと、画像を重ね合わせた際にずれが発生し、合成された画像では「ぶれて」いる状態になります。

例えば外観撮影時に偶然写り込んだ自動車や歩行者であれば、ぶれて写ったところで取り立てて問題になりませんが、撮影を望まれるオーナーの顔となるとぶれてしまっては大変です。
せっかくの機会ですので、少しばかりの我慢をお願いします。

機材の写り込み、影

Googleストリートビューでは、カメラ(撮影機材)が画面に写り込んでいることがあります。写り込みは鏡、ガラスはもちろん、車のボディや窓、テレビ、電子レンジの扉、ドアの枠など様々です。

照明や太陽の位置によっては機材の影が伸びて画面に写り込むこともあります。

こういった写り込みや影について、修正できないのか?というご要望をいただくこともあります。
ところでGoogleストリートビューでは、撮影画像の過度な修正は禁止されています。

〔Googleストリートビュー 投稿者向け〕一部抜粋

〔画像の品質〕

・閲覧の妨げとなる効果やフィルタが適用されていない。

ただこれは、実際に存在するものを消したり、実際には無いものを付け足したりすることを禁止するものですから、鏡などに写り込んだ撮影機材について修正することは当然禁止されていません。
しかし、こういった修正は、その場所にもよりますが少なくない費用が発生します。
もし修正が必須、もしくは当たり前となれば、費用的な問題からGoogleストリートビューの撮影依頼をためらうオーナーも出てくるかもしれません。
そうなれば、Googleとしても撮影場所が増えず、検索者が必要とする情報を集めることが難しくなる恐れもあることから、Googleストリートビューではその前身であるインドアビューの時代から機材やその影の写り込みついて品質基準上での問題点としていません。
そのため、これまで撮影されたGoogleストリートビューのほとんどが修正なしで公開されています。
弊社でのGoogleストリートビュー撮影時には、出来る限り機材の写り込みや影が入らないよう注意してカメラを設置しますが、Googleストリートビュー撮影のルール上、撮影位置が限定されるため避けられないことも多くあります。
例えば、情報として必要な玄関扉前や、分岐点など動線を確保するために撮影が必要なところにガラスや鏡などがある場合、機材の写り込みを避けることができません。
その際は何卒ご了承をいただきますようお願いいたします。
なお、あくまでこれは機材の話ですので、フォトグラファーは写り込みが無いように撮影しております。

ゴースト、フレア

カメラのレンズに強力な光が入ることで、画像に光の影が入ることがあります。

通常の撮影ではレンズに直接強い光が入らないように、順光(カメラの後ろから光が当たっている状態)での撮影やレンズフード(レンズの周囲の日よけ)や「ハレ板」などを使用することでゴースト、フレアの発生を回避するのですが、Googleストリートビューの場合

  • 天頂まで撮影する必要があるため、魚眼レンズに光源を遮るレンズフードを装着できない。
  • 4方向撮影するため、太陽やスポットライトなどの光源を避けられない。
  • Googleストリートビューの撮影ルール上、出入り口の近くといった、ダウンライトなどの光源の近くでの撮影が必要な場合もある。

といった理由から厳しい条件下での撮影になることが少なくありません。
ライトを消したり方向を変えていただいたりなど回避策としては考えられますが、照明を落とすことによるイメージ低下も考えると、全てのケースで出来ることではありません。
撮影時において画像を確認しながら、撮影位置を探るなど出来る限りの努力はいたしますが、止むを得ないケースもあることをどうかご了承ください。

ノーダルポイント

ノーダルポイント(Nodal Point)とは、パノラマ撮影を行うにあたって非常に重要なポイントです。別名「ノー・パララックス・ポイント(No Parallax Point)」、すなわち「視差の無い場所」という意味です。
「視差」とは、非常に簡単に言えば「見え方のずれ」のことです。
Googleストリートビュー撮影では、三脚上で水平方向にカメラを90°ずつ回転させながら4方向の撮影を行うのですが、各方向の画像は90°より広く撮影しています。
この余分に撮影された部分は、隣り合う方向の画像でも同様に撮影されているので、この中にある同じ被写体を目印として隣り合う画像をつなげてパノラマ合成を行います。
しかし、カメラの水平回転軸中心とレンズの焦点位置がずれていると、隣り合う画像のそれぞれに視差が発生します。
その結果、隣り合う画像の中にある同じ被写体の位置が移動してしまい、目印を失った隣り合う画像は接続点を見つけることが出来ず、パノラマ合成も失敗してしまいます。
このノーダルポイントにずれによるパノラマ合成の失敗を防ぐため、パノラマ撮影では特殊な機材を使用しますが、Googleストリートビューでは以下の機材が推奨されています。

この機材はパノラマヘッドと呼ばれていますが、こちらを正しく装着することで、正確なノーダルポイントでのパノラマ撮影が可能になることから、弊社も含めGoogleストリートビューを撮影する業者の多くがこの機材を使用しています。
そして、こちらを使用して撮影したGoogleストリートビューでは、カメラの真下(三脚がある場所)がこのような状態で公開されています。

先ほど、「Googleストリートビュー撮影では、三脚上で水平方向にカメラを90°ずつ回転させながら4方向の撮影を行う」と書きましたが、「あれ?水平方向はともかく、上下方向はどうなっているの?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、Googleストリートビューのような「全天球(大きなボールの中から外界をみるような)」のパノラマ撮影では、水平4方向に加えて上下2方向、合わせて6方向を撮影するのがこれまでの常識でした。
しかし、Googleストリートビュー推奨のパノラマヘッドは、あらかじめ7.5°の仰角を設けることで水平方向を撮影すると同時に天頂方向も撮影出来る仕様となっています。

Googleストリートビュー撮影の場合、カメラを立てて撮影しますので、上下方向はほぼ180°撮影できます。
水平に対して最初から7.5°の仰角が付いているので、上図のように4方向全てで天頂方向に180°+7.5°を撮影できますから、Googleストリートビューでは天井(カメラの真上)までパノラマ画像で見ることができるのです。
しかしこのパノラマヘッドを使用する撮影方法では、三脚があるカメラの真下については撮影されていない、つまり画像情報が無いことになります。
では何故、Googleストリートビューはこのような撮影方法でも問題ないとしているのか…
あくまで憶測ですが

  • 6方向撮影すると、撮影時間が増えるだけでなく、処理する画像も多くなり編集時間も増えることになるが、それらはコストとして撮影依頼料金に転嫁され、結果として検討者が撮影を依頼し難くなる恐れがある。
  • ノーダルポイントは撮影機材(レンズ、カメラ本体)によって異なるため、フォトグラファーそれぞれが自由な機材でノーダルポイントを設定し撮影を行った場合、全員が正しいノーダルポイントを設定できない可能性が有り、その結果均質な撮影品質が担保されない恐れがある。

といった理由ではないか、と推察します。
弊社では、上述のようにGoogle推奨の機材を使用していますので、カメラの真下(三脚のある場所)についてはGoogleの品質基準通りの編集処理を行っていますし、世に公開されているGoogleストリートビューの大多数は弊社と同じよう方法で撮影され、編集処理されています。
しかし、かなり少数ではありますが、6方向の撮影を行い完全な全天球パノラマを撮影されている業者様もおられますし、それを付加価値としてアピールされています。
また、あくまでこういった撮影は一眼レフ機と魚眼レンズを使用する、高画質のGoogleストリートビュー撮影について該当することで、Ricoh Thetaのような簡易的な360°カメラで撮影されたGoogleストリートビューでは、カメラ真下の編集処理を行わずカメラや三脚が写り込んだ状態で公開されることも少なくないようです。
以上、Googleストリートビュー撮影に特有の注意点についてご説明して参りましたが、いかがでしたでしょうか?
一般的な写真撮影と違うところがあることをご理解いただけましたでしょうか?
トリートビュー撮影の導入をご検討される際は、こういった点などもご考慮いただけますと幸いです。
ご不明点などございましたら、どうかご遠慮なくお問合せください。