Googleストリートビューの撮影ルール

ストリートビュー撮影ルールのアイキャッチ画像

Googleストリートビューには、撮影・公開についてルールが設定されています。さらにGoogleは、ストリートビューとは別に、Googleマップへ投稿する画像全般に関するルールも、別に規定しています。これは、利用者がどこの施設や店舗であっても同じ方法で安心して利用できるように、また撮影者の違いによる品質の低下を避けるためのもので、日本だけでなく世界中で同じルールが適用されます。

かつて、ストリートビューがインドアビューと呼ばれていた頃には、非常に細かいルールが設定されており、ルールに適合しないストリートビューは公開ができなかったり、認定資格のはく奪といった厳しいペナルティが課されていました。しかし現在では、ルールもかなり簡略化されており、公開時のGoogleによる審査も無くなったことで、昔に比べるとほぼ自由に撮影・公開できる、と言っても過言ではありません。

ただし弊社では、高品質のストリートビューを公開するために、過去の撮影ルールも適用した、より厳しい基準での撮影を、お客様へ推奨しています。このページでは、現在のストリートビュー撮影ルールをご紹介するとともに、弊社が推奨する高品質の撮影ルールについてもご説明します。

撮影ルールの詳細

撮影機材について

ストリートビューで公開する画像は、一眼レフカメラや360°カメラなどで撮影した写真を、パノラマ合成ソフトウェアで結合・編集することで作成されます。また、パノラマ撮影を行うためには、一眼レフカメラであれば魚眼レンズやパノラマヘッドといった特別な機材も必要になります。

Googleが例示する撮影機材

Googleは、撮影に使用する機材について例示しています。

ストリートビュー推奨機材リスト
Googleが推奨する撮影機材

上記表は、一眼レフ機を使用する場合の機材リストになりますが、比較的安価で購入できる、携帯に便利な小型の360°カメラもストリートビュー撮影で使用できます。推奨の小型360°カメラについてはこちらで確認できます。

弊社が使用する撮影機材

弊社では、インドアビュー時代から継続して、全てのストリートビュー撮影において小型の360°カメラを使用せず、一眼レフ機と大口径魚眼レンズを使用し、JPGの最高画質(キヤノン製カメラの場合はラージ/ファイン)で撮影しています。

後述する画像サイズ(ピクセル数)の点だけを見ると、小型の360°カメラでもGoogleの要求基準を満たします。また、一回のシャッターで360度撮影が可能な小型360°カメラに対し、一眼レフカメラでは1ポイントで4方向撮影するため時間もかかりますし、編集においても4方向の画像を1つのパノラマ画像に生成する手間がかかります。

それでも敢えて弊社が、撮影や編集に手間がかかる一眼レフ機での高画質撮影にこだわるのは、撮影画像の品質に差がある事につきます。下は、同じ店舗様のほぼ同じポイントから、他社が小型360°カメラで撮影したストリートビュー画像(①)と、弊社が一眼レフ機+魚眼レンズで撮影したストリートビュー画像(②)を並べたものです。

①小型360°カメラで撮影したストリートビュー画像
①一眼レフ機+魚眼レンズで撮影したストリートビュー画像

①の小型360°カメラ撮影画像では、画像全体にノイズが入っておりくすんだ感じになっていますし、シャープネスが低くダイナミックレンジも狭くなっています。一方、②の弊社が一眼レフ機+魚眼レンズで撮影した下の画像では、ダイナミックレンジも広くノイズも少なく、大口径の魚眼レンズを使用していることもあり、ソファや観葉植物の質感もシャープに写っています。

このような画質の大きな違いは、使用しているカメラの「イメージセンサーの大きさ」と、使用されているレンズの違いによるものです。

デジタルカメラの「目」に該当するイメージセンサーは、大きければ大きいほど多くの光を取り込むことができるため、画質が向上します。逆にセンサーサイズが小さいと、ノイズが多くなり細部のディティールも甘くなります。ほとんどの小型360°カメラで使用されるイメージセンサーが、1インチ(13.2×8.8mm)以下であるのに対し、弊社が撮影に使用している一眼レフ機では、APS-C(23.4×16.7mm)~フルサイズ(36×24mm)と、面積比で13倍から30倍も多く光を取り込むことができるので、より高画質の撮影が可能になります。

また、小型360°カメラの魚眼レンズでは、1回のシャッターで360度撮影が可能ですが、本体前後に配置されているレンズの構造上、前後カメラのつなぎ目部分が撮影出来ないため、パノラマ合成する際に「つなぎ目のずれ」が発生することが多くなります。さらに、小型の本体にレンズを収納するためコンパクト化が優先されており、一眼レフ機で使用される大口径魚眼レンズと比べて、レンズの解像力や収差(歪みやズレ)の補正性能は限定されてしまいます。

動画撮影やSNS投稿などに使用するのであれば、手軽に撮影できる小型360°カメラでも問題無いかもしれません。しかし、静止画像をPCモニターのような大画面でしっかりと見られたり、スマートフォン画面を拡大して見られる可能性があるストリートビューでは、小型360°カメラの画質では十分では無いと、弊社は考えます。

「360°写真を複数枚作成する」

ストリートビューで公開する画像の撮影についても、Googleはルールを定めています。

Googleが定める撮影ルール

現在のパノラマ撮影ルール

以前はもっと細かく設定されていましたが、2015年9月にほぼ現在と同じ程度のシンプルな内容に緩和され、Googleによる審査も無くなりました。現在では、「Google 提供のストリートビュー画像に関するポリシー」に反しない限り、公開されたパノラマ画像が削除されるようなことはほとんど無いと言ってよいでしょう。

しかし、撮影ルールが緩やかになったことで、「粗雑なストリートビューが急増する」という大きな問題が発生しています。特に、2016年7月以降に「ストリートビュー認定フォトグラファー」としてストリートビュー事業に参入した業者の多くは、Googleによる研修も無く、これまでの厳しい撮影ルールも意識することなく撮影を行っています。そのため「撮影ポイントがやたら多い」「障害物をすり抜けて移動する」「ポイント移動したらどこにいるのか分からない」「撮影カメラマンが写りこんでいる」などといった、弊社ではおよそ公開できないレベルの、非常に粗雑なストリートビューが多くみられるようになりました。

弊社では、高品質のストリートビュー撮影のため、現在のルールよりも厳しい、旧ルールによる撮影を、お客様にお薦めしています。以下に詳細をご説明します。

弊社の撮影ルール

カメラの高さ・三脚・撮影時の注意点
弊社が撮影に使用する機材例

・弊社は一眼レフ機で撮影するため、三脚を使用しています。

・ストリートビューでは、シャッターを切る際にカメラ本体が動かないよう、必ず三脚を用いて、レリーズ(遠隔スイッチ)でシャッターを切ります。

・通常の撮影では、カメラの高さは140~150cm(女性の目線の高さ)くらいとし、狭いスペースや天井が低い場所、ショーケースなどの前では、若干カメラを下げるなど調整します。

・魚眼レンズでは上下180°が撮影されるため、カメラ直下になる三脚が写らないように、カメラは水平より15°上に向けて撮影します。また脚が写らないよう、狭めて設置します。

・撮影ポイントでのカメラ設置時に、レベリングベース(水準器)でカメラの水平を調整します。一眼レフ機では各ポイントで4方向を撮影し、それら画像を1枚に合成するため、撮影時に水平が確保されていることは必須です。

・撮影方向の窓やガラス、鏡面などに、カメラマンや影が写り込む恐れがある場合は、セルフタイマーを設定し、カメラから離れて撮影します。

・カメラマンは写り込みが無いよう退避しますが、カメラは鏡などにそのまま写り込みます。できるだけ写り込みが無いように撮影ポイントを設定しますが、ポイント設置が必須な場所では、カメラの写り込みを避けることができません。

撮影ポイントの間隔について

屋内での撮影ポイント間隔について、弊社では、旧ストリートビューのルールであった「約1~4.5m」の間隔で撮影ポイントを設置しています。屋外の場合、移動先のポイントが視認できて、かつ移動後に迷子にならない(自分がどこにいるのか分からなくなる)程度まで、間隔を広げる場合もあります。

ストリートビュー撮影で重要なことは、「閲覧者が店内を実際に歩いている」かのように思える位置に、撮影ポイントを設置することです。旧ルールでは、撮影ポイント間隔はかなり厳密に計っていましたが、現在はGoogleの審査も無くなっているので、現地状況やお客様のご要望などもお聞きした上で、過剰なポイント数にならないよう、間隔を調整することもあります。

現在Googleは「屋内:1m/屋外:3m」と規定しています。しかし実際にこのルール通り撮影すると、非常に多くの撮影ポイントが必要になります。ストリートビューの移動は、画面に表示される楔形の矢印をクリック(タップ)する方法のため、撮影ポイントが無駄に多くなると、ほとんど情報(景色)が変わらないにも関わらず、移動の手間だけが増えてしまい、閲覧者が飽きて離脱してしまう恐れがあります。

さらに、弊社の様に撮影ポイント数によって金額が変わる料金体系の場合、撮影ポイントが増えることは、お客様の負担が増えることにつながります。業者の中にはこの「屋内:1m/屋外:3m」を根拠に、お客様に過剰な撮影ポイントが必要と強弁するところもあるようで、ストリートビュー導入を検討されているお客様から弊社に、「別の業者で、『Googleのルールで1m間隔で撮らないといけない』として、法外な料金が必要と言われたが本当か?」といった疑問(クレーム?)をいただいくことも、少なくありません。

必要な場所を撮影することは当然ですが、撮影ポイントが多ければ良い、ということは決してありません。撮影施設が広い場合や個室など独立した撮影箇所が多い場合、指定エリアへジャンプ移動できる「マルチエリアモード」を導入することで、撮影ポイント数を軽減することも可能です。

撮影ポイントの経路

弊社では原則として、「マルチエリアモード」を設定しているエリア内を除いて、全ての撮影ポイントを相互に接続します。撮影ポイントは、閲覧者が意図した方向へ違和感なくスムースに移動ができるよう、前後の撮影ポイントが視認できるライン上に設置します。

また、閲覧者の移動の妨げになる障害物が無いように、撮影しています。具体的には、撮影ポイントの前後のポイントの間に、視線を遮る障害物が無く、十分に視認できる状態で撮影します。例えば、撮影ポイントの間に扉(ドア)がある場合は、開放して撮影しますし、視線を遮るような暖簾(のれん)があれば、上げて撮影します。また、曲がり角や障害物がある場合は、前後のポイントが見える位置(曲がり角など)に撮影ポイントを設置します。人物も障害物となりますので、撮影ポイントに通行人などがいる場合は、通り過ぎるまで待ってから撮影します。

進行方向が見えるように入口ドアを開放して撮影
進行方向が見えるように入口ドアを開放して撮影
進行方向が見えるように暖簾を上げて撮影
進行方向が見えるように暖簾を上げて撮影
前後の撮影ポイントが見える通路の曲がり角で撮影
前後の撮影ポイントが見える通路の曲がり角で撮影

なお、撮影ポイント間の「移動の妨げになる障害物」について弊社では、「移動先のポイントが視認できる」「移動後の自分の位置が想定できる(迷子にならない)」のであれば、障害物と見なさずにポイントを接続しています。障害物について緩く解釈する理由は、閲覧者のスムースな移動と、お客様の費用負担を減らすことにつながるからです。撮影ポイント間の障害物を避けて移動するには、迂回する撮影ポイントを1つ以上増やすことになりますが、これは閲覧者にとって無駄な手間が増えるだけでなく、お客様にも余計な費用をご負担いただくことにもなります。以下は、撮影ポイント間に障害物が有っても、接続している例になります。

経路間に障害物がある例①-1
経路間に障害物がある例①-1
経路間に障害物がある例①-2
経路間に障害物がある例①-2

フィットネスジムで弊社が撮影した例①_1では、現在の位置から進行方向(緑色の壁辺り)とを結ぶライン上に、器具と利用者が存在しています。しかし、現在の位置からも移動先の情報(例①_2)が十分に確認できるため、障害物とせず、ポイントを接続しています。

経路間に障害物がある例②-1
経路間に障害物がある例②-1
経路間に障害物がある例②-2
経路間に障害物がある例②-2

また、自動車ショールームでの弊社撮影例②_1では、展示車の後部が進行方向(車の向こう側)のライン上に被っています。しかしショールーム全体が解放されたスペースで、周囲の状況も把握しやすいことや、現在の位置から移動後の情報(例②_2)も視認できることから、展示車を障害物としていません。なおこのケースでは、移動後に迷子になる可能性が低いことから、ポイント間の距離も通常より長く(約10m)設定しています。

上記例のように弊社では、Googleのルールや閲覧者の利便性も確保しながら、少数のポイントでも十分なPR効果が発揮できるように考慮して、撮影ポイントを設置しています。弊社では、撮影のお問い合わせをいただいたお客様には、無料で撮影ポイント案を作成し、ご検討の材料としていただいています。どうぞご遠慮なくお問い合わせください。

「3:1:1」ルール

店舗や施設の外から屋内に進入する経路を撮影する場合、弊社では、旧ストリートビュー撮影ルールで規定されていた「3:1:1」ルールでの撮影をお薦めしています。下の例では、①店舗正面の外側約3m、②店舗正面外側(ドアの外)約1m、③店舗内側(ドアの内)約1mで撮影しています。

①「3:1:1」の外3m。歩道上から店舗正面を撮影。次は図の赤丸の位置(②)へ移動します。
②「3:1:1」の外1m。店舗入り口ドア外側で撮影。次は図の赤丸の位置(③)へ移動します。
③「3:1:1」の内1m。店舗入り口ドア内側で撮影(店舗内から)。次は図の赤丸の位置(②)へ移動します。

①を撮影するのは、店舗外観を広く見せるためで、周辺の状況もパノラマで見渡せることから、閲覧者が実際に店舗に訪問するのにも役立ちます。店舗の大きさや、店舗前のスペースによって、3mより長くすることも可能です。②は「これから店舗に入る」、③は「これから店舗から出る」状況の撮影で、それぞれ進行の妨げにならないようにドアを開けて撮影します。

なお、「3:1:1」ルールの撮影は、閲覧者が利用しやすい高品質のストリートビューになることから、弊社はお薦めしていますが、現在のGoogleのルールは必須ではありません。またポイント位置も厳密なものでは無く、現地状況に応じて調整できます。

また、広間や通路などから、個室などドアで区切られたスペースへ進入する場合も同様に、ドアの外側約1mと、室内側に約1m入った位置で撮影します。ドアの外側撮影ポイントは、そこまでの移動経路から分岐し、個室内が見える位置に設置します。

ドアの前後の撮影ポイントは、広間や通路と、個室内を接続する場合には、移動経路をつなぐために必要です。ただしドアからの距離については、移動経路からの距離や、室内の撮影ポイント位置に応じて、伸縮することは問題ありません。

①病室外側の撮影例(下向き)
①病室外側の撮影例(下向き)。廊下の移動経路から分岐する形で病室内②へ進入。
②病室内側の撮影例(下向き)
②病室内側の撮影例(下向き)。病室内の約1mで撮影し、①へ移動します。
③ ①のポイントは移動経路上にあり、②の方向へ分岐しています。
③ ①のポイントは移動経路上にあり、②の方向へ分岐しています。
道路上のストリートビューとビジネスのストリートビューの接続について

Googleのルールでは「道路から撮影を開始し、施設に入るまで撮影を続けます。」となっていますが、弊社では基本的に車の走る道路上では撮影していません。道路上での三脚を使用しての撮影は、車の通行を妨げ迷惑をかけるだけでなく、重大な事故を誘発する危険性も高くなります。そのため旧い撮影ルールでは、車道上での撮影は禁止されており、店舗外観を撮影する場合、原則として撮影する店舗敷地内か、歩道上(歩道が無い場合は路側帯上)から撮影していました。

現状Googleは、「道路上のストリートビュー(Googleが車で走りながら撮影)と接続できるようにするため」に、道路での撮影を勧めているようですが、弊社を含む業者が撮影するストリートビューでは、業者側の編集作業でGoogleが撮影しているストリートビューと接続することはできません。Googleストリートビューの自動結合機能※1によって、接続できる場合もあるようですが、その条件が公表されていないため、接続できるかどうかはGoogleの判断(設定)次第となり、弊社でコントロールすることはできません。少なくとも弊社の事例では、接続できる例を確認することができません※2。

そのため弊社では、接続をお約束できない以上、接続を目的として撮影ポイント数を増やすことはお薦めしていません。

※1 先ほど、「ストリートビューの移動は、画面に表示される楔形の矢印をクリック(タップ)する方法」と述べましたが、パソコンでストリートビューを見る場合は、進行したい方向のモニター画面をクリックすることで、移動できる場合があります。これは弊社のような業者による接続設定とは別に、Googleが自動的に接続を設定する機能で、矢印が見えにくい位置(足元など)にある場合でも移動ができるメリットがあります。しかし、接続設定がされていない、近くにある他の撮影ポイントを感知してしまい、意図しないポイント(例えば壁の向こう側など)へいきなり移動してしまうという、大きなデメリットがあります。

※2 かつて、弊社のようなGoogleの認定を受けたパートナーだけに提供されていた編集・公開ツール「Pano-editor」では、店舗側と道路上のストリートビューを接続する機能がありました。そのころに弊社が公開したストリートビューの一部では、現在でも道路上のストリートビューに接続できることを確認しています。しかしその場合でも、店舗側ストリートビューから道路上へ移動することはできるものの、道路側から店舗のストリートビューへ直接移動することは出来ないようです。なお、「Pano-editor」の利用は2017年4月に終了し、それ以降の編集・公開ツール(アプリ)では、店舗側と道路上のストリートビューを接続する機能は、提供されていません。

道路上のストリートビューからビジネスのストリートビューを見る方法

道路上のストリートビューとビジネス側のストリートビューを「直接」接続することは、上述の通り困難ですが、「間接的に」接続することは現在可能になっています。

①道路上のストリートビューから表示されるアイコン
①道路上のストリートビューから。中央にアイコンが表示されています。
アイコンをクリックすると表示される情報
アイコンをクリックすると表示される情報

①道路上のストリートビューからビジネスの方を見ると、画面にアイコンが表示されています(写真中央)。

②アイコンにマウスオーバーすると、ビジネス名とクチコミの評点、総数などが表示されますが、そのビジネスにストリートビューがある場合、「中を見る」が表示され、クリックするとビジネスのストリートビューへジャンプします。

アイコンの色、デザインは、そのビジネスのカテゴリーによって変わります。アイコンはビジネスプロフィールがある路面店舗やビル自体については表示されますが、ビル内の空中店舗のビジネスでは、アイコンが表示されないようです。

360°写真の公開と合成を行う

Googleが定める画像に関するルール

魚眼レンズで撮影した2次元(平面)画像を、ストリートビューのような全天球(ボールの内側から周囲を眺めるイメージ)パノラマとして公開するには、複数枚の撮影画像を合成して、特殊な平面画像を作成する必要があります。Googleは、この画像の合成や編集についても、ルールを定めています。

エクイレクタングラー(正距円筒図法)

上記「360°写真の公開と合成を行う」に記載がある「平面の画像」を、エクイレクタングラー(Equirectangular)と呼び、Googleは、このエクイレクタングラーの合成と編集について、詳細なルールを定めています。エクイレクタングラー形式画像は360度パノラマやVR(Virtual Reality:仮想現実)データの標準的な規格で、日本語では正距円筒図法と訳されます。

①フルサイズ一眼レフ機で、4方向を撮影した画像
① フルサイズ一眼レフ機で、4方向を撮影した画像
② ①の4枚の画像から合成したエクイレクタングラー画像
② ①の4枚の画像から合成したエクイレクタングラー画像

一眼レフ機で全天球のパノラマ画像を撮影する場合、一つの撮影ポイントでカメラの全周囲を撮影するため、人間の目の位置に相当するカメラを中心として、前後左右の4方向を撮影します。エクイレクタングラーは、全周囲を撮影した4枚の画像(①)を、水平360度、垂直180度(横2:縦1)の1枚の画像に合成したもの(②)になります。

魚眼レンズで撮影された画像①は、通常のレンズで撮影したものと比べて超広角(フルサイズ一眼レフ機であれば上下180度)が写っていますが、中央から端に行くほど画像が歪みます。それら歪んだ4つの画像を1枚に合成したエクイレクタングラーは、球体(3次元)の情報を無理やり平面(2次元)で表現するため、画像②のように赤道線(水平方向の中心線)から上下方向へ離れるほど、横に引き延ばされてしまいます。これは、3次元の地球を平面にした世界地図(メルカトル図法)で、北極や南極へ近づくほど、実際より大きく表示されることからも分かります。

エクイレクタングラーは、そのままの状態では非常に見難い上、被写体の大きさや形状が著しく異なっていますが、ストリートビューや弊社サービスの「360view」のようなビューワーを利用することで、360度画像として見ることができます。

弊社での画像に関するルール

ストリートビュー画像の公開ツール

Googleは、屋内版ストリートビューへエクイレクタングラー形式画像を公開する際には、サードパーティー製のアプリケーションを使用すること推奨しています。弊社では、Googleから提供されていた編集・公開ツール「Pano-editor」のサービスが終了した2017年4月以前より、Googleが推奨するサードパーティー製アプリケーションの一つである、「GoThru Moderator」を使用しています。

「GoThru Moderator」編集画面
「GoThru Moderator」編集画面

「GoThru Moderator」は、Googleが「Pano-editor」終了をアナウンスしたころから推奨されていたアプリケーションで、GoogleのストリートビューAPIと高度に統合されており、編集だけでなく直接公開も可能な、プロフェッショナル向けの有償ツールです。

「GoThru Moderator」は優れたインターフェイスを備えた高機能なアプリケーションである事に加え、弊社社員も長年の利用で多くの経験を積み、その機能や特性を熟知していることから、高品質のストリートビューの編集・公開には欠くことができないツールとして弊社では日々活用しています。

なお、Googleの推奨するアプリケーションには、Googleが無償で提供している「Street View Studio(ストリートビュースタジオ)」も含まれています。しかし「Street View Studio」は、GPS位置情報を元にGoogleが自動で撮影ポイントを接続するため、弊社が使用している「GoThru Moderator」のように、自由に撮影ポイントを接続することができませんし、GPS情報を取得できない屋内の画像では、使用することができません。

画像サイズ(ピクセル)について

Googleは「7.5メガピクセル以上(3,840×1,920ピクセル)」と規定していますが、弊社では最低でも「44メガピクセル(9,500×4,700ピクセル)」以上の画像を公開しています。弊社が一眼レフ機での撮影にこだわる理由の一つが、小型360°カメラでは、このサイズの写真を撮ることが難しいからでもあります。

小型の360°カメラでも、Googleが規定する7.5メガピクセル以上のエクイクタンブラー画像(写真)を撮影出来ます。例えば小型360°カメラの最上級とされる「RICOH THETA Z1」では、最大で22メガピクセル(6,720×3,360ピクセル)の静止画を撮影出来ます。しかしその構造上、前後2方向のレンズで撮影するため、それぞれのサイズは半分の情報量となります。

一方、一眼レフカメラでは、一つの撮影ポイントで前後左右4方向を撮影します。フルサイズ機では1枚の画像サイズが30メガピクセル(6700×4,700ピクセル)有り、隣り合う画像の重複部分を差し引いても、合成されるエクイクタンブラー画像の情報量は、小型360°カメラのそれを大きく上回ります。

画像の品質は、ピクセル数だけで決まる訳ではありません。しかし、ストリートビューの様に室内装飾やソファや食器などをリアルに表現したり、十分な明るさが確保できない状況で撮影する場合には、有効であることは間違いありません、また、モニターやスマートフォン画面で拡大する場合にも、情報量が多いことは大きなメリットになります。さらに、後述のように、公開時に画像容量を圧縮しますが、圧縮時の画像劣化の影響を少なくするためにも、ピクセル数を多くする必要があります。

アスペクト比

画像のアスペクト比は、「2:1(横2:縦1)」と規定されています。弊社が公開するエクイクタンブラー画像も同じ比率です。

画像サイズ(容量)について

ストリートビューで公開する画像(エクイクタンブラー)の大きさ(容量)についてGoogleは、「75MB以下」としています。しかし75MBのデータはかなり重く、このサイズでは昨今のブロードバンド環境下でも、閲覧に支障を来す恐れがあります。高画質の画像でご覧いただくことは大切ですが、移動や表示に時間がかかってしまうことで、閲覧者の興味や関心を失わせてしまうことは避けなければいけません。

弊社は一眼レフ機で高画質撮影を行っているため、撮影画像を合成したエクイレクタングラーの容量は20MB程度になります。この大きさで公開しても、Googleのルールである「75MB以下」を満たしますが、それでも閲覧には時間がかかってしまいます。その対策として弊社では、ストリートビュー閲覧に最適な画像サイズについて、様々な通信環境下での検証を重ねた結果、最適なサイズである「6~7MB」まで画像を圧縮してから公開しています。

なお、公開する画像はJPG形式のため、圧縮することによる画質の劣化は避けることができません。圧縮による画質劣化の影響を少なくするためには、圧縮前画像の情報量となるピクセル数を、大きくしておくことが重要です。そのため弊社では、一眼レフカメラでの高画質撮影を行うことで、圧縮よる劣化を感じさせない高画質のエクイレクタングラー画像を作成しています。

画像の周囲に隙間が無い

この「画像の周囲に隙間が無い」とは、「横方向で360度の画像の中で、写っていない箇所が無い」という意味です。上部(天頂部)と下部(底部)については、撮影されていなかったとしても、上部と下部の間が75%撮影されていれば、Googleは問題無いとしています。

弊社のストリートビューの撮影では、カメラを中心に360度を撮影しますが、カメラの直下にある三脚が写る箇所を除いて、天頂部を含めた全ての情報を撮影しています。カメラ直下については撮影されていないため、周囲の画像を集める形で補正しています。

①弊社で撮影したストリートビューのエクイレクタングラー画像
①弊社で撮影したストリートビューのエクイレクタングラー画像。横方向360度に加えて、天頂部まで隙間なく撮影されています。下端の黒い部分は、撮影されていないカメラ直下に当たる部分のため、情報がありません。
カメラ直下の画像例
② ストリートビューで、①の撮影されていない部分(黒い部分)に当たる真下を見ると、周囲の床の情報で補正されています。

ストリートビュー撮影に適切な機材を使用して、正しい手順で撮影すれば、カメラ直下の三脚部分以外で、撮影ができていない(写っていない)箇所が発生することはありません。弊社が公開する全てのストリートビューは、全て弊社社員か、弊社が撮影技術を講習したパートナーが撮影しており、撮影に使用する機材も確認しています。また、編集・公開作業も全て弊社社員が行っているため、不良な画像を公開することはありません。

著しい合成エラーが無い

ストリートビューの公開に使用するエクイクタンブラー画像は、一眼レフカメラであれば、カメラを中心として前後左右4方向を撮影した画像を結合して作成します。この合成を行った際に、隣り合う画像とのつなぎ目が大きくずれていないことが必要です。

一眼レフ機(APS-Cサイズ)の撮影画像(正面と右方向)
①一眼レフ機(APS-Cサイズ)の撮影画像。右側が正面で、左側が右方向。
② ①の画像をつなぎ合わせたエクイクタンブラー画像(該当部分)。下の黒い部分はカメラ直下の撮影不要な部分。

上の①は、一眼レフ機で撮影した正面方向と、その右隣になる90度右方向を撮影した画像を並べたものですが、両方の写真にあるマークは、アプリケーションが「同じ情報」と認識している箇所です。魚眼レンズで撮影した場合、上下方向は180度、前後左右についてはフルサイズ機で180度(APS-C機では110度程度)の情報を撮影出来ます。どちらでも360度の1/4になる90度より広く撮影できますが、隣り合う画像の重複した部分にある、同じ情報を目印に、アプリケーションが画像を結合していきます。隣り合う画像の重複部分を縫い代とし、同じ情報の個所を縫い目として繋ぎ合わせる作業が、布を縫い合わせる作業と似ていることことから、ストリートビューでは「ステッチ:stitch」と言います。

①他社撮影事例。丁寧なステッチ作業が行われていないため、赤丸内のように、隣接する画像の接続部分にある、フロアの模様がずれています。
②同じ撮影ポイントでの弊社撮影例。ステッチ処理が適正に施されているので、隣接する画像と滑らかに接続されており、フロアの模様にずれがありません。。

ステッチには専用のアプリケーションを使用するのですが、アプリケーションの自動処理だけでは、上記例のように縫い目の部分を誤認識してしまうことも少なくなく、結合部分がずれた不細工なエクイクタンブラーが合成されてしまいます。そのため弊社では、処理担当者は自動処理の後に必ず目視確認を行い、ずれた個所について手作業で修正を行います。

Googleは、上記例程度のずれについては容認しているため、そのまま公開している業者も少なくありません。しかし、お客様からお金をいただいて撮影している以上、弊社では、ステッチずれのままで公開することができないと考えています。

明度の高い領域と低い領域で細部が十分に表示されている

全天球パノラマであるストリートビューでは、カメラを中心として、カメラ直下を除く上下前後左右360度全てを撮影しますが、これを一眼レフ機で撮影する場合、配慮が必要となる大きな問題があります。それは「各方向での明るさの違い」です。屋内で撮影するストリートビューの場合、室内照明で室内の明るさが均一の場合は少なく、ほとんどの撮影ポイントでは撮影する方向で明るさが異なります。人間が360度を見まわした際には、脳が明るさの違いを補正しますが、一方向ずつ撮影する一眼レフ機では、それぞれの方向をそのままオート撮影すると、隣り合う写真で明るさが異なるため、合成されたエクイレクタングラーが非常に不自然なものなってしまいます。

撮影する方向の明るさが違うケース

写真の左右になる屋内の撮影方向は、室内照明によって均一の明るさになっているため、ほぼ同じ露出(明るさ)で撮影されています。しかし、窓の方向からは屋内照明に比べて強い光が屋内に差し込んでいるため、カメラは窓の明るさに露出を合わせています。その結果、窓の周囲が黒く潰れてしまうだけでなく、隣り合う左右方向とは極端に明るさが異なる画像が、合成されてしまいます。

なお、一つの撮影方向内においても、明るい部分と暗い部分が存在しますが、一回の撮影(1枚の写真)では、明るい部分と暗い部分の輝度の差(ダイナミックレンジ)をカバーできないないことが多々あります。その対策として弊社のストリートビュー撮影では、カメラを三脚に載せて固定した上で、露出を変えて複数回撮影(オートブラケット撮影)した写真を、専用アプリケーションで1枚に合成する処理(ハイダイナミック:HDR)を行います。しかし、撮影方向の明るさが大きく異なる場合は、後述のようにこの方法でも対応できないことがあるため、撮影段階でのさらなる調整が必要です。

①他社撮影
②弊社撮影

上記は、ほぼ同じ撮影ポイントを他社(①)と弊社(②)が撮影した、ストリートビュー画像です。他社撮影による①では、右奥客室の窓に露出が合っているため、中央辺りが黒くつぶれており、弊社撮影による②では写っている、ガラスケースの情報が表現されていません。また、②の画像では、中央辺りのドアで滑らかに明度が変わっていますが、①ではアプリケーションが明度の違いを補正しきれないため、急激に明るさが変わっています。①の品質であれば、弊社では公開することができないため、再撮影することになります。

エクイレクタングラー画像が上記①になるような写真を撮影してしまった場合、後の編集作業で行うアプリケーションによる合成や、手作業による明度編集で修正することが非常に困難です。そのためストリートビュー撮影では、現地で撮影する段階で、完成するエクイクタンブラーを想定しながら、撮影する4方向の明るさを揃えて撮影する必要があります。撮影ポイントの明るさは、撮影する施設の構造や照明位置、窓の位置などによって同じものは一つもないため、撮影カメラマンにはカメラ設定の技術に加えて、パノラマ撮影に関する知識・経験も必要です。

弊社では、撮影を依頼する全てのカメラマンに対し、撮影技術に関する講習を実施することに加え、編集作業の際にも全ての撮影写真をチェックし、不具合がある場合は指導・再撮影を指示するなど、高品質のストリートビュー公開を継続する管理体制を、常日頃より維持しています。

鮮明でぶれがなく、ピントが合っている

ストリートビューのようなパノラマ撮影では、特定の被写体にピントを合わせるのではなく、近景から遠景までピントが合った「パンフォーカス」写真を撮影しますので、使用する魚眼レンズに適切な絞り値が設定されてさえいれば、「ピントが合っていない」ことは通常起こりません。また、オートブラケット撮影では、カメラを三脚に載せて動かない状態で撮影しますので、しっかり三脚を設置し、シャッター押し下げ時にカメラ本体が動かないよう、レリーズを使用することで、手振れやカメラブレも起こりません。

しかし、正しい撮影手順・設定を行わない場合は、ピントボケやぶれが容易に起こり得ます。またピントボケやぶれのある写真は、後で修正・補正が出来ないので、致命的な失敗となります。このような撮影ミスの発生を防止するため弊社では、撮影カメラマンには実地撮影を伴う講習を実施することに加え、撮影手順・設定・注意点を詳細に記載したマニュアルを配布し、マニュアルに則った撮影の徹底を、常に指示・監督しています。

まぎらわしい効果またはフィルタが使用されていない(天底画像も含む)

Googleマップに投稿する画像全般のルールとして、画像の調整(修正・補正)は最小限とするよう規定されています。ストリートビューに関してもそのルールに則ることが必要ですので、公開されるエクイレクタングラー画像内には、実際に店舗・施設を訪れたお客様が混乱しないよう、枠線やテキスト、コラージュ画像など実在しない情報(画像)を付け加えたり、実在するにもかかわらず消去したり、別の情報に置き換えたりしてはいけない、とされています。

ただし、画質を向上するための、最小限のスタイルの調整(明るさ補正など)は許容されています。また個人情報や表札、ナンバープレートなど、プライバシーに関する情報について、Googleはぼかし処理を施すとしています。弊社では原則としてぼかし処理を無料で施しています。

人物ぼかし例
弊社撮影でのぼかし例。写っている人物が特定できないように、顔面や衣服(全体)にぼかし処理を施しています。
ナンバープレートぼかし例
弊社撮影でのぼかし例。車のナンバープレートの他にも、マンションベランダの洗濯物など、プライベートな情報にもぼかし処理を施しています。

また、オープンキッチン内やバックスペースなど、日常お客様の目に触れる場所ではあるが、敢えて画像として見られたくない場所についても、ぼかし処理を施すことは可能です。ただし、あまり大きなぼかし処理を入れることは、ストリートビューのイメージが悪くなるだけでなく、却ってその場所を閲覧者に意識させてしまう恐れもあります。可能であれば撮影前に整理するか、パーティションなどで隠しておくことをお薦めします。

オープンキッチン内の一部をぼかしている例
オープンキッチン内の一部をぼかしている例
カウンター裏側に置物をぼかしている例
カウンター裏側の置物をぼかしている例
ベランダ外の臨家をぼかしている例
ベランダ外の臨家をぼかしている例

ストリートビュー撮影をお考えでしたら、まずは弊社にお問い合わせください

高品質のストリートビューは、強力な集客・宣伝ツールになります。しかし低品質なストリートビューでは、逆にお客様は関心を無くし、足を遠ざけてしまう障害物になってしまう恐れもあります。

この記事は、2025年1月時点でのGoogleのルールについて書いていますが、Googleはルールを頻繁に変更します。、最新のルールに則った上で、さらに高品質の撮影を行うべく、弊社は常に情報をチェックし、撮影・編集技術を向上し続けています。

お店や施設への集客施策として、ストリートビュー導入をお考えのビジネスオーナーや責任者は、どうぞお気軽に弊社へお問い合わせください。お客様を呼び込む、高品質のストリートビューをご提案させていただきます。

屋内ストリートビュー撮影掲載サービスは、わかりやすい料金設定と低価格で、ビジネスの見える化をサポートします。
Googleストリートビューがお店やオフィスの店内を紹介し、ビジネスプロフィールの魅力を最大限に引き出し集客に貢献します。